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不死の帝王はご不満です。

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不死の帝王はご不満です。



 不死者というものがどうやって生まれるか、
知っておるかね。
死んでいるのに生まれるというのも変な話じゃが、
言葉の文と言うことで、気にせんでもらおう。

兎も角、不死者と呼ばれる、
ゾンビ、スケルトンから始まる動く死体という物は、
大概、その土地の魔力が不の方向に動いている為に、
生まれることがほとんどじゃ。
何らかの理由で淀み、溜まった大地のエネルギーが、
放置された死体の中に流れ込み、動き出す。
ネクロマンサーとよばれる魔術師が行う秘術も、
それが人為的に行われるだけのことで、
根本的な違いはない。
儂が生まれた国の更に東の島国、ヤハンには、
長年使い込まれた道具が命を持つという、
九十九神という伝説があるそうじゃが、
それも恐らく似たようなものなんじゃろう。

だが、ただ動くからといって、
それが新しい命を得たかといえば、別の話じゃ。
自分自身を除けば、
儂は意志を持った不死者という物を見たことがない。
不死者が歩き回るのは、
その中に流れるエネルギーが結果的に、
器の手足を動かしているだけにすぎず、
人を襲うのも、エネルギー同士がくっつきあい、
更に大きくなろうとする、一種の自然法則にすぎん。
操り人形の如く動かされることはあっても、
自らの意志を持って動くことはないな。

これがポルターガイストから始まる、
幽霊体となれば、話は違う。
エネルギーが凝り固まって生まれるところなど、
差ほど変わらんのに、何故なのかの。
意志の疎通は愚か、
生き物と呼ぶにはお粗末なものが多いが、
感情らしいものが存在するのも、少なくないようじゃて。
ウィスパーなど決まった形をとるようなのは、
もう、そういう種族だと考えていいじゃろうしな。
器を持たない奴らが
器を持った儂等より、生き物に近いというのも、
おかしな話だとは思うがね。
儂が知らんだけで、何か違いがあるんじゃろうか。

もっとも、違いがあろうと無かろうと、
儂が特別だということは変わらん。
儂には名前もあれば、意志もある。
ほかの不死者とは違うのじゃ。
この器とて、その辺の不死者と同じにされては困る。
普通の不死者は、器が動き出す時には、
既に腐敗が始まっており、
醜い姿でで動き回るのが常じゃがの。
儂は違う。
儂の器は空気すら抜ける隙間もない精巧な棺に収められ、
温度の変わることのない地中奥深くの、
特別な施設に安置されていたからな。
腐敗せなんだ。
そこに貯まった膨大な魔力が、儂を生みだし、
器として肉体を固定したからの。
だから儂の体は不死者でありながら、腐っておらん。

特別なのは、意志があることや器だけでもない。
長年ため込んだ魔力は、並ではないぞ。
魔術師の奴には、流石に及ばぬが、
黒山羊や、トカゲどもに勝るとも劣らん。
なればこそ、
相応の敬意と配慮を持って扱ってもらわねばな。
主等のような新参者と並べられるのは、
本来、不本意なんじゃ。
その辺は、魔術師の小僧の顔を立てて、
見逃してやるとしても、
造り物の機械人形ごときに、
ぞんざいに扱われるのは我慢ならん。
大人しく年輩者の言うことを聞いて、
さっさとそいつを儂によこさんかね!

「そんなことを言われましても、
 キィが嫌がっていますから、承諾できかねます。」
「ひぃぃ、ひぃぃー」
『なにがわるいのか、我にもわかるぞ。
 セイロンの顔が怖いのが、いけないのだな。』
「ヌル、余計なことを言うんじゃありませんよ。」
もう遅いわ!
キィといい、このジィゾとか言う人形といい、
どうしてこうも言うことをきかん。
挙げ句に何故、ホムンクルスの小僧にまで、
馬鹿にされねばならんのか。
ええい、儂はただ、
この小さくてプニプニした生き物を、
ちょっと抱っこしてみたいだけなのに、
全く、不愉快なことばっかりじゃ!

 

 

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津路志士朗
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