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HPで管理するのが色々と面倒になってきたので、 とりあえず作成。

変態と幼児の華麗なる一日。

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変態と幼児の華麗なる一日。





現在最高の人口を抱える国家フォートディベルエの首都、
シュテルーブルに登録される個人ギルドは、
星の数ほどあるが、
ZempことZekeZeroHampは他と一線を引いている。
実在すれば世界最強と言われる魔王の中の魔王が、
娘と共に居候していることを差し引いても、
それは変わらない。
何せ、揃いも揃って、変わり者ばかりなのだ。
中でも、ヒゲの愛称で呼ばれる白魔導士は、
ギルドの中でもちょっと特殊である。

ある時、パチッと眠りから目を覚ましたヒゲは、
自分が何故、そこにいるのかが分からなかった。
ぐるりと周りを見渡せば、ギルド寮の一室であり、
別段、困ることはないのだけれど、
何故、そこで寝ていたのかが分からなかったのだ。
共同住宅で生活を営んでいる他のメンバーと違い、
ヒゲは余所にアパートを借りている。
同居人が別ギルドの所属しているとか、
そもそも既婚者はギルド寮には住めないなど、
幾つか理由はあるが、余所に居を構えている以上、
ここで目覚めるのは、ちとおかしいのである。

はて、何ででしたっけと、
けして外さないガスマスクの上から顎を撫でた彼の腰を、
何かがぽこっと蹴りとばした。
振り向けば、ギルド員の一人、
紅玲が師匠から預かっている小さいキィが、
もぞもぞと同じ布団で蠢いているのが目に入った。
程なくキィは布団から這い出ると、
目覚め悪く、大きな声で泣き出した。
抱き上げて、よしよしと宥めつつ、
ようやく状況を把握する。
「ふむ、これはきいたんと、
 濃密な夜を過ごしてしまったようですな。」
何のてらいもなくしゃあしゃあと下ネタを吐く。
他のメンバーが聞いたら一斉に袋叩き、
特にこの手が嫌いなキィの父親の耳に入れば、
悪即斬と即、一刀両断にされるだろう。
因みに悪の基準が完全な私見で、世間一般の価値とは、
多々つり合わないので余計に危険である。

しかし、私刑が怖くてセクハラはできない。
「まだ、おひるだよー よるじゃないよー」
寝ぼけながらも間違いを指摘する、
幼児のお尻をぽんぽん叩き、ヒゲは元気よく言い直す。
「じゃあ、濃密な二度寝で!」
勢いだけの返事に、目が覚めてきたのか、
キィは不思議そうにヒゲの顔をのぞき込んだ。
「ノウミツって何だー?」
「簡単に言うと、沢山寝ましたってことです。」
どうせ小さい人は覚えていられまいと高をくくり、
いい加減な説明をする。
生憎、キィはちゃんと聞いていて、
変なときに覚えたことを口にするので、
後でこっぴどく怒られることも少なくないが、
その時は、その時である。

さて、それよりもと、ヒゲは無人の部屋を見回した。
自分とキィの他に誰もいない。
当然であろう。
曇天とはいえ雨が降っているわけでもなく、
元気で怪我もしていない以上、皆、公式冒険者として、
こぞって仕事に出かけたに決まっている。
帰ってきたら、ユッシンが怒るんだろうなあと、
ぼんやり考える。
同じ白魔法上級職ではあるが、
彼の技術はヒゲの遙か上をいく。
魔法使いでありながら、物理攻撃をメインとする、
外道な自分が欠けた穴など、どうとでもするだろうが、
居なくても良いと言うことにはならない。
只でさえ、ユッシは口煩いのだ。
負担が増えた以上に文句を言うに決まっている。
相方のジョーカーはここぞとばかりに大喜びで、
失敗を騒ぎ立てるだろうし、
後輩冒険者のポールや、真面目なノエルなど、
その他のメンバーだって良い顔はしまい。
けどまあ、その辺はどうでも良い。
問題は紅玲だ。
普段子守兼留守番をしているのに、不在と言うことは、
十中八九、自分の代わりにかり出されたのだろう。
いくら騒いでも口先だけのメンバーと違い、
彼女は無言で実力行使に出る。
躊躇なくわき腹に手刀を叩き込まれるぐらいは、
覚悟せねば成るまい。
想像して背筋に寒い物が走り、
ヒゲはブルリと体をふるわせた。

別に、狙ってサボったわけではない。
ただ今朝はギルド寮に出勤して、
二度目の朝食をちゃっかり頂いた後、
キィを抱っこしているうちに、寝てしまったようだ。
ここのところ、ユッシに振り回され、
体力と気を使う高レベルダンジョンへ通い続けで、
疲れていたせいだろう。
加えて、仕事前だというのに満腹になるまで食べ、
昨夜の就寝時間は遅かった。
なにより、幼児特有の高体温と触り心地により、
キィの湯たんぽ効果は抜群である。
眠くなる要素がこれだけ揃っている以上、これは必然。
まあ、そういうこともあると、
ヒゲは本日の休業を覚悟した。
働かないと先日の借金の返済が滞るのだが、
それもまた良しだ。

他に誰もいないのに気がついたらしいキィが、
不思議そうに聞いてくる。
「ひげちゃん、おしごといかないの?」
「ヒゲさんは、今日はお休みです!」
今日は一日一緒と聞いて、
キィはくりくりした目を見開き、興奮気味にねだった。
「じゃあ、きいたんと、あそんでほしいよー」
「いいですぞ!」
快く了承すると、キィは心底嬉しそうに喜んだ。
普段、お仕事をしているお兄ちゃんたちは、
あまり構ってくれない。
そういうものと理解はしているようだが、
やはり、寂しいのだろう。
良いことをしたと、ヒゲはさぼりを肯定する。

けれども、一日中遊んでいるわけにもいかない。
「遊ぶ前に、まずはお掃除やお買い物ですな!」
家事当番の紅玲が今日は自分の代わりに出かけている。
代わりに自分も彼女の仕事を片づけるべきだろう。
洗濯は下着の関係でやたら手を出すと怒られるので、
まずは部屋中に掃除機をかけ、
雑巾でざっと水拭きをする。
マットもバシバシ叩いて埃を落とし、物干し竿にかける。
キィもちみちみと、
クッションや座布団を片づけるのを手伝った。
掃除が終わったら、
今度は近所のスーパーのチラシをチェックする。
「すいようびは、
 たまごとにゅうにゅうがやすいんだよー」
「なるほど! それにお肉が5割引!
 これはお買い得ですな!」
特売品に丸をして、チラシをポケットに突っ込む。
エプロンを見つけたので、
しっかり装着すると、ふんふん鼻歌を歌いながら、
ヒゲはキィと買い物に出かけた。
ふと、休みにしたのだから、
自宅の家事こそ片づけるべきなのではと思ったが、
気がつかなかったことにする。
スーパーは特売日だけあって、色々安かった。
山ほど食材を買い込んだ帰り道、公園に立ち寄り、
キィと一緒に雄叫びをあげて走り回り、
ジャングルジムを上り、
ブランコで飛び降りをしたところで、
冷凍食品を買ったことを思いだし、
溶ける前に大急ぎで帰宅する。
他の子連れの母親が、
終始ひそひそ話し合っていたようだが、無視した。

「よかった! アイスは溶けてませんな!」
買ってきた物を冷蔵庫に順次突っ込み、
生鮮食品には目立つよう日付を書き込む。
相方のジョーカーがいれば、
「全くお前は所帯じみてるよな!」などと、
悪態の一つも付くだろうが、
普段からやっていることなので、別段手間とも思わない。
一息付くと、ギルドマスターのロッキングチェアを、
引っ張りだし、休憩代わりのテレビ鑑賞としゃれ込む。
「あんまり面白いのやってませんな!」
平日の昼間だけあって、ニュースばかりだ。
キィも自分もつまらないので教育番組へ変更する。
子供向けと侮るなかれ。
これはこれで、結構面白いのだ。
母国語で遊び、アルファベットをデザインし、
椅子と一緒に大騒ぎする。
歌え、踊れ、叫べ、雲よ、嫌なことは忘れるのだ。
キィも一緒になって暴れていたが、
ふと、思い出したようにヒゲのエプロンを引っ張った。

「ひげちゃん、おなかへったよー」
「確かに! もう、お昼ですな!」
いつの間にか正午を少しすぎている。
早速昼食を作ることにして、台所へ移動する。
「きいたんは、なにが食べたいですかな?
 何でも食べたい物を作ってあげますぞ!」
ヒゲはギルドきっての自炊派だ。
よほど面倒なものでなければ、作れる自信がある。
何でもいいと問われて、キィはにこにこしながら言った。
「きいたん、らーめんがたべたいよー
 お湯入れて、つくるやつだよー」
「おおふ・・・まさかのカップめんですか・・・」
3分経てば、誰でも簡単にできてしまう。
腕の振るい甲斐がないとしょんぼりしたら、
気を使ったのか、キィが別案を提示した。
「おなべで、グツグツにるのでもいいよー
 ふくろにはいっているやつだよー」
「袋麺ですか。了解しました!」
それなら、野菜炒めを入れたり、
卵を落としたり、工夫のしどころがあるだろう。
『しかし、
 きいたんに気を使われるワシって一体・・・』などと、
疑問が飛ぶが、取り合えず冷蔵庫を覗く。

「モヤシと人参、タマネギとキャベツがありますな!」
「きいたん、らーめんにもやしをいれるよー
 レンジでチンしたのがいいよー」
「野菜はは麺と一緒にゆでると楽で美味しいですな!」
「タマネギとキャベツは、焼いたのがいいよー」
纏めて煮るのは駄目らしい。
なかなかに注文が煩い。
モヤシを電子レンジにかけ、お湯を沸かしながら、
手早く刻んだ野菜を炒める。
その後ろでキィがご機嫌で歌いだした。
「チンしたモヤシ、チンしたモヤシ、チンしたモヤシ!
 やきやきした、たまねーぎ、
 やきやきした、たまねーぎ、
 チンしたモヤシ、チンしたモヤシ、チンしたモヤシ!」
即興だろうが、なかなかテンポがよい。
いい気分になったヒゲも、一緒になって歌う。
「チンしたモヤシ、チンしたモヤシ、
 チンしたモ、ヤ、シ!」
「キャベツ!」
「やきやきした、たまねーぎ、
 やきやきした、たまねーぎ、
 チンしたモヤシ、チンしたモヤシ、チンしたモヤシ!」
歌うだけでは飽きたらず、
体を揺らしてくねくね踊る間に、麺が茹であがった。
器にスープを用意し、麺と野菜を乗せ、
いそいそとテーブルへ運ぶ。
箸を用意して席に座り、早く冷めるよう、
キィの分を取り皿に装ってやる。
あつあつのラーメンはなかなかに美味しそうだ。
ヒゲとキィはご機嫌で、両手を合わせた。
「それでは、いただきます!」
「いただちます!」
ガスマスクを上手に避けて、勢いよく麺をすすり、
ブハッと、ヒゲは噎せかけた。
『MA! ZU! I!!』

これは一体どうしたことか。
袋麺はよほどのことがない限り、
誰が作っても同じように美味しいはずである。
半ベソで、キィが訴える。
「ひげちゃん、これ、おいちくない。」
いや、まずくはない、まずいわけではないのだが、違う。
これはラーメンの味ではない。
賞味期限が過ぎていたのだろうか。
いや、それにしても。
ヒゲは飛び上がるように席を立つと、台所に向かった。
ゴミ箱から引っ張り出した袋は、
いつもと同じ醤油ラーメン、ではなかった。

表記されていたのは『鴨南そば』の文字。
「ベッキーィィィィィィィッッッッ!!!」
購入者の愛称を叫んだところで、
彼女ははヒゲの代わりに仕事中である。
「何故、こんな紛らわしいものを買ったし・・・!!」
「ひげちゃん、これ、らーめんじゃなあい!
 らーめんじゃなあい!」
バッシバッシとキィに叩かれ、
ヒゲはがっくりとひざを突いた。
「こんな巧妙な罠を張るとは、
 恐れるべし、エゾッコ・・・!」
「これ、エゾッコじゃなあい。これ、かくちゃん!」
しかし今更、
メーカーに誤認表記と文句を言っても仕方がない。
ヒゲはぼんやりとテーブルの上の器を眺め、
幼児を振り返った。
「ごめんね、きいたん・・・ヒゲさん、間違えました。」
「きいたん、らーめんがたべたかった!」
「うん、でも、きいたん、お蕎麦は嫌いですか?」
「きいたん、おちょばもすきだよー
 でも、らーめんがよかったよー」
「ごめんね、ラーメンはまた今度作ってあげますから。」
作ってしまった以上、食べなければ延びてしまう。
すごすごと机に戻り、大人しく席につく。
盛った野菜を除け、
蕎麦だと思って食べれば、特に問題はない。
卵を落としたら、なお美味しくなった。
「なかなか、スープの香ばしい匂いがオツですな。」
「おいちいねえ、おいちいねえ。」
さして時間もかけず、二人ともぺろりと平らげた。

名残惜しく、スープを飲んでもキリがなく、
健康にも悪いので、さっさとお皿を片づける。
満腹では暴れる気もせず、歯磨きの後は、
キィと一緒にままごとで遊ぶ。
「バン、ババンッ! うわーやられたー!!」
「るーはゆびがないから、てっぽうはうてないよー」
借りた犬のぬいぐるみにガンマンをやらせたら、
幼児からあっさりだめ出しを食らった。
一通り遊んで、今度はのどが渇く。
「そろそろ、おやつにしますかね。」
よっこらしょと立ち上がり、台所に向かえば、
キィもちょこちょこ後からついてくる。
「なに、たべんの? よーぐると?」
「きいたんは、ヨーグルトが好きですなあ。
 でも、今日はプリンです。
 さっきお店で買ってきました。」
「ぷっちんできる?」
「出来る出来る。」
冷蔵庫からプリンを引っ張り出そうとして、
見慣れないものを見つける。
「おっ、これは!」
「じゅーちゅだ! ぶどうじゅーちゅだよ!」
きれいな赤紫の液体が入った水差に、キィが大喜びする。
甘いものは控えめにと、
普段、お茶しか飲ませてもらえないのだ。
「良いものを見つけましたな!
 これもいただきましょう!」
これ幸いとコップに注ぎ、
キィにはおしゃれにストローも付けてやる。
準備万端、スキップしながら席に着くと、
プリンを皿に装い、二人は再び手を打った。
「はい、いただきます!」
「いただちます!」
プリンは甘さ控えめで美味しい。
カラメルの苦さが良いアクセントだ。
ここでジュースを一口と口に含んだところで、
ヒゲはうっかり吐き出し掛けた。
『SHI! BU! I!』
いつもとちょっと違う酸味と渋みがヒゲの口を襲う。
駄目だ。これは飲んではいけない奴だ。

「きいたん、ストップ! ジュース飲んじゃだめ!」
「もう、のんじゃったよー」
ちょっと遅かった。
ストローから口をはなし、幼児が悲しそうに言う。
「ヒゲちゃん、これ、じゅーちゅじゃない。
 これ、おはなのおちゃ。」
前にも飲んだことがあると、キィが主張する。
腐っていたわけではないようだ。
食中毒になっては大変であり、
まずは己の判断が間違っていたことに安堵はしたが。
「何故だ、ベッキー・・・いや、これはユーリさんか・・・?」
キィの指摘は正しく、落ち着いて飲めば分かった。
これはブドウジュースではなく、ローズヒップティーだ。
色はそっくりなのだが、ジュースではない。
紛らわしいことをしないでくれと、
今は居ない女性陣に願う。
「でも、まあ、これはこれで・・・
 ガムシロップ入れればいいですな。」
「おいちくなったねえ!」
甘みを入れると独特の酸味もアクセントになる。
普段はコーヒーしか飲まないが、
フレーバーティーもなかなか良いものだ。
ちょっと気取った紳士を装いつつ、
3時のお茶を楽しむ。

「ちゅっぱくて、おいちいねえ。
 ちゅっぱくて、おいちいねえ。」
キィはヨーグルトや果物などの、酸っぱいものが好きだ。
何時だか外食に行った際、
付け合わせのレモンをそのまま口に入れ、
あわや大惨事かと思いきや、
そのままご機嫌で食べ続けたという伝説を持っている。
レモンと言えばと、あることを思い出し、
ヒゲは冷蔵庫からレモン汁の瓶を持ってきた。
「きいたん、きいたん、ちょっと見てて!」
「?」
頭の上にクエスチョンマークを浮かべた幼児のコップに、
レモン汁を垂らす。
ぱっと色が変わったのを見て、
キィは大きく目を見開いた。
「きれいだねえ、ちゅごいねえ!」
「本当、おもしろいですな!」
「ちゃんちぇいだ! ちゃんちぇいだからだよ!」
誰の教育か、若干2歳のくせに酸により色が変わったと、
ヒゲより正確に原因を把握しているが、
ともかくキィは大喜びした。
「おもちろいねえ、ちゅっぱくて、おもちろいねえ。」
「ふむ、しかし、このお茶は元々酸っぱい・・・
 と、いうことは。」
ヒゲはまた、別のことを思いつき、
今度は牛乳を持ってきて、今度は自分のコップに入れる。

「酸性のところに、牛乳を入れると・・・」
「どろどろだ! どろどろになったよ!」
予想道理、化学反応を起こして、
牛乳が固まってきた。
「やはり、計画通り・・・ッ!」
「えんちぇきだ、えんちぇきだねえ。」
また、キィが塩せきなどと難しいことを言っているが、
もう、気にしないことにする。
そもそも、計画通りなのに矢張りとはどういうことか。
己の言葉に矛盾を感じながら、
ヒゲはコップを口に運んだ。
「おいちい?」
「んー・・・なんか、思った以上にどろどろって言うか、
 粒々で舌触りが悪いって言うか・・・
 何でワシは牛乳なんか入れちゃったんでしょうね。」
後悔は先に立たず、事故責任で飲み干す。
口直しにもう二・三杯飲んでから、
ヒゲとキィほぼ同時に大欠伸をした。

「そろそろ、お昼寝の時間ですな。」
「きいたん、まだ、ねたくないよ。」
遊び足りないのか、キィはもにょもにょ言ったが、
もう、目がトロンとしている。
「ヒゲさんが、お話を読んであげますから、
 お布団に入りましょうね。」
奥の部屋に布団を用意してやり、
とんとん体をたたいてやりながら、絵本を読む。
ぐずぐずと、キィは粘ったのだが、
絵本を2冊ばかり読んだところで寝てしまった。
一安心したところで、自分も眠りに落ちていくのを、
ヒゲはぼんやりと感じ取った。
仕事にいけなかったのは良くないが、
今日はなかなか有意義な一日だった。
話の流れでギルドを移って以来、
毎日、誰かしらに誘われ、結果的に働きづめだったのを、
今更ながら実感する。
それが悪いわけではけしてないが、
自分には、マイペースがあっている。
来週も水曜日に中休みをとろう。
今度は一人でのほほんと、何もしない時間を過ごすのだ。
新しい予定にヒゲは満足し、ゆっくりと目を閉じた。

3時間後、約束をすっぽかした件と、
ガスマスクにエプロンで戸外を彷徨きまわり、
近隣住民に不安を与えた件、
人のお茶を全部飲んじゃった件について、
厳しくメンバーから追求を受けるのだが、
それもまた、楽しみの一つである。

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津路志士朗
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